中小企業は何から始めるべきか

~2026年版ものづくり白書から考える現実的な第一歩~

前回の記事では、2026年版ものづくり白書が示した「企業間格差」について考えました。

収益力の高い企業ほど投資を行い、生産性を高め、人材を確保する。

一方で、投資余力を確保できない企業は、その差を埋めることが難しくなっている。

そんな構図が白書から見えてきました。

では、中小企業はどうすればよいのでしょうか。

「AIを導入しなければ」
「DXを進めなければ」
「経済安全保障に対応しなければ」

そう考える経営者の方も多いと思います。

しかし私は、最初にやるべきことは別にあると考えています。

全部やろうとしない

最近の経営環境は非常に複雑です。

AI
DX
GX
経済安全保障
人材不足
技能継承

どれも重要です。

しかし、限られた人員と予算の中で、すべてを同時に進めることは現実的ではありません。

実際、2026年版ものづくり白書でも、AIやデジタル技術の活用には、

・知識やノウハウ不足
・人材確保の難しさ

が課題として挙げられています。

だからこそ、

「何をやるか」

より先に、

「何を優先するか」

を決めることが重要です。

まずは自社の現状を把握する

私はこれまで製薬業界で、

原薬不足
物流停止
感染症流行
自然災害

など、さまざまな供給リスクを経験してきました。

その中で強く感じるのは、

問題が起きてから慌てる企業と、
問題が起きる前から備えている企業では、

対応力に大きな差があるということです。

そして、

備えている企業は、
必ずしも大企業とは限りません。

共通しているのは、

自社の状況を把握していることです。

例えば、

・重要な原材料はどこから調達しているのか
・代替供給先は存在するのか
・特定国への依存はないか
・どの製品が止まると経営への影響が大きいのか

こうした情報を整理できている企業は、危機が起きても次の一手を打ちやすくなります。

リスクを見える化する

2026年版白書では、

経済安全保障に取り組む企業は増えたものの、多くは情報収集段階にとどまっていることが示されています。

なぜでしょうか。

それは、

何がリスクなのか分からないからです。

見えないものには対策できません。

だからこそ必要なのが、

リスクの見える化

です。

例えば、

中国依存が高い原材料は何か。

代替供給先が存在しない原材料は何か。

サプライヤーの品質リスクはどこにあるのか。

災害が発生した場合、どこで供給が止まるのか。

こうした情報を整理するだけでも、経営判断の質は大きく変わります。

投資判断は「見える化」の後に行う

AIもDXも非常に有効な手段です。

しかし、

課題が分からない状態でツールを導入しても成果は出ません。

これは製造現場でも同じです。

原因が分からないまま設備を増設しても問題は解決しません。

まず現状を把握する。

課題を特定する。

そして必要な投資を行う。

この順番が重要です。

2026年版白書でも、

経営課題への意識が高い企業ほどAIやデジタル技術を積極的に活用していることが示されています。

つまり、

成功している企業はAIから始めているのではなく、

課題把握から始めているのです。

ススミルが支援できること

ススミルコンサルティングでは、

医薬品業界を中心に、

・原材料調達リスクの可視化
・サプライチェーン分析
・代替供給源探索
・調達先多角化支援
・BCP対策

といった支援を行っています。

特徴は、

対策ありきではなく、

まず現状を見える化することです。

「何となく不安」

「どこに、どれくらいのリスクがあるか」

へ変換する。

そして、

優先順位を明確にする。

それが私たちの役割だと考えています。

おわりに

2026年版ものづくり白書は、

AIを導入すれば解決する、

DXを進めれば大丈夫、

という単純な話ではありません。

私が読み取ったメッセージは、

「変化に備える企業になること」

でした。

そして、その第一歩は、

大きな投資でも、
最新のシステム導入でもなく、

自社の現状を正しく把握することです。

不確実性が高まる時代だからこそ、

感覚ではなくデータで見る。

思い込みではなく事実を見る。

その積み重ねが、5年後、10年後の競争力につながるのではないでしょうか。