原薬メーカー・商社はパテントリンケージをどう理解すべきか?安定供給を支える特許情報の重要性

前回の記事では、2025年に導入されたパテントリンケージの専門委員制度についてご紹介しました。

パテントリンケージというと、

「知財部門の話」

と思われがちです。

しかし、原薬メーカーや商社にとっても決して無関係ではありません。

今回は、サプライチェーンの視点から、パテントリンケージをどのように理解すればよいのかを考えてみたいと思います。

パテントリンケージは商社や原薬メーカーにも関係する

上市時期が変われば、

  • 原薬の生産計画
  • 在庫計画
  • サプライヤーとの生産調整

など、サプライチェーン全体に影響が及びます。

また、開発を進める側にとっては、

  • 売上予測
  • 原薬供給の準備
  • 生産能力の確保
  • 開発費用や設備投資の回収

なども重要な検討事項になります。

そのため、パテントリンケージは知財部門だけのテーマではなく、調達、生産、営業、経営にも関わるテーマと言えるでしょう。

パテントリンケージが承認されても不確実性は残る

もちろん、パテントリンケージを経て承認されたとしても、その後に特許訴訟が起こらないとは限りません。

最終的な特許侵害の判断を行うのは裁判所です。

そのため、

  • 承認後に訴訟が提起される可能性がある
  • 裁判所の判断が想定と異なる可能性がある
  • 上市時期が変わる可能性がある

など、不確実性は残ります。

一方で、予定通りに上市できた場合には、大きなリターンが得られる可能性もあります。

重要なのは「リスクを知った上で判断すること」

だからこそ重要なのは、

「リスクがあるからやらない」

ではなく、

「どのようなリスクが存在するのかをできるだけ把握し、その上で判断すること」

ではないでしょうか。

最終的な意思決定は各企業が行うものです。

しかし、その前提となる情報をできるだけ集め、リスクを理解した上で選択することが、ますます重要になっていくように感じます。

特許もまた、サプライチェーン情報の一つ

私は17年間、調達業務に携わってきました。

その中で感じてきたのは、

安定供給を支えるのはモノだけではないということです。

  • 品質情報
  • 市場情報
  • サプライヤー情報

そして、

特許情報。

これらすべてが、サプライチェーンを支える重要な情報です。

パテントリンケージ判断における専門委員制度導入の試みは、特許情報の重要性がさらに高まっていることを示しているようにも感じます。

特許情報を知ることは、安定供給を考えること

医薬品の安定供給というと、

品質問題や原薬不足、物流リスクなどが注目されます。

しかし、

特許による上市時期の変動や特許紛争もまた、サプライチェーン全体に影響を与える重要なリスクです。

品質もリスク。

災害もリスク。

そして特許もリスク。

安定供給を支えるためには、特許情報もサプライチェーン情報の一つとして理解していくことが重要なのではないでしょうか。

まとめ

パテントリンケージは、知財部門だけの話ではありません。

原薬メーカーや商社にとっても、

  • 生産計画
  • 在庫計画
  • 売上予測
  • 設備投資
  • サプライヤーとの調整

などに関わる重要な情報です。

そして、

特許もまた、サプライチェーン情報の一つ。

その重要性は、今後さらに高まっていくのかもしれません。

次回は、

「なぜ今、医薬品特許情報の重要性が高まっているのか」

について考えてみたいと思います。