昨日は阪神・淡路大震災から30年の節目に、企業防災の進化とBCPの重要性について考察しました。今回からは、より具体的にBCPの策定・運用について、3回に分けて解説していきます。
たとえば、災害発生時に会社に出勤して、状況確認をする。責任者という点から、部長や課長などが真っ先に出社するような計画が組まれていることも少なからず、あると思います。その部長や課長が会社までの通勤時間が1時間かかっていると、まず規模の大きな災害の場合は徒歩ならば、半日以上かかるかもしれません。そのようなことも想定しておく必要があるでしょう。
■BCPの基本要素
事業継続計画(BCP)には、以下の要素が不可欠です:
1.重要業務の特定
会社の存続に関わる核となる業務
顧客への影響が大きい業務
収益への影響が大きい業務
2.目標復旧時間の設定
業務ごとの許容中断時間
復旧優先順位の決定
段階的な復旧計画
3.必要リソースの把握
人員
設備・機器
システム
原材料・部品
■リスクアセスメントのポイント
効果的なBCPのためには、以下の観点でリスクを評価します:
1.発生可能性の評価
地域特性による自然災害リスク
施設・設備の脆弱性
過去の事例分析
2.影響度の評価
直接的な被害額
業務停止による機会損失
顧客との関係性への影響
3.対策の優先順位付け
リスクマトリクスの活用
コストと効果のバランス
実行可能性の検討
■実効性を高めるための具体策
計画を実際に機能させるために重要な点:
1.文書化のポイント
簡潔で分かりやすい記述
チェックリストの活用
図表による視覚化
2.現場との整合性
実際の業務フローとの整合
担当者の意見反映
実施可能な対策の選定
3.定期的な見直し
PDCAサイクルの確立
訓練結果の反映
環境変化への対応
■次のステップ
BCPの基本要素を押さえた後は、より具体的な実施計画の策定に移ります。次回は「BCPにおけるサプライチェーンマネジメント」として、取引先も含めた包括的な事業継続について解説していきます。
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