― 判断を、経験から組織の資産へ ―
原材料調達の問題は、
起きてから気づくことがほとんどです。
入荷しない。
生産が止まる。
売上や信頼に影響が出る。
そのたびに、
「もっと早く分かっていれば」
という言葉が出てきます。
では、なぜ
早く分からなかったのでしょうか。
経験は強い。だが、共有できない
原材料調達の現場には、
長年の経験から得られた
優れた判断があります。
・この原材料は要注意
・このメーカーは不安定になりやすい
・このタイミングで検討を始めるべき
こうした判断は、
現場を支えてきました。
ただし、
それらの多くは
個人の経験として蓄積されている
という特徴があります。
経験は強い。
しかし、
そのままでは
組織の資産になりません。
判断が属人的になる理由
調達判断が属人化するのは、
誰かが悪いからではありません。
判断に必要な前提が、
人の頭の中に散らばっているからです。
・いつから供給が不安定になるのか
・代替先は本当に存在するのか
・検討を始めるべき時期はいつか
これらが整理されていなければ、
判断は
「詳しい人」に委ねられます。
その結果、
組織としての判断は
いつまでも育ちません。
データは、判断を置き換えるものではない
ここで言う「データ」は、
人の判断を置き換えるものではありません。
むしろ、その逆です。
データは、
人が判断するための前提を揃えるもの。
・共通の事実
・共通の時間軸
・共通の視点
これらが揃って初めて、
議論は前に進みます。
経験を「見える形」にする
データ化とは、
経験を否定することではありません。
経験を、
他の人も使える形にすることです。
・どんな条件のときに
・どんな判断をしたのか
・なぜその判断に至ったのか
それが見える形になっていれば、
判断は特定の誰かに
閉じなくなります。
判断は人がする。だからこそ、前提を共有する
最終的な判断は、
これからも人が行います。
責任を持って決断することは、
経営や現場の重要な役割です。
だからこそ、
その判断に至る前提が
共有されているかどうかが
決定的に重要になります。
データは、
判断を楽にし、
判断の質を安定させます。
「見えない状態」が、最大のリスクだった
原材料調達のリスクは、
常に存在していました。
ただ、それが
見えない状態に
置かれていただけです。
見えなければ、
判断はできません。
見えるようになって、
初めて
「考える対象」になります。
これまで、
・調達リスクがどこで属人化するのか
・なぜ経営として認識されにくいのか
を整理してきました。
その先に行き着いた答えが、
「判断の前提を、データとして共有する」
という考え方でした。
ここで一旦、
話を区切ります。
次は、
阪神淡路大震災という
“想定外が現実になった出来事”を通じて、
備えることの意味を
もう一度考えてみたいと思います。











