― 判断の「位置」を正しくする ―
前編では、
属人化が怠慢や引き継ぎ不足ではなく、
善意や経験の積み重ねから生まれる構造であることを整理しました。
では、属人化は
本当に「なくすべきもの」なのでしょうか。
私の答えは、いいえです。
すべての判断は、共有できない
現場の仕事には、
どうしても属人的にならざるを得ない判断があります。
背景となる専門知識。
業界特有の文脈。
過去の修羅場の記憶。
それらが重なった先にある判断は、
どれだけ仕組みを整えても、
完全に共有・再現することはできません。
だからこそ、
属人化をゼロにする、という考え方には
無理があります。
重要なのは「判断そのもの」ではない
本当に整えるべきなのは、
判断の結果ではありません。
判断に至るまでの
・前提
・選択肢
・比較材料
・リスクの所在
これらが、
特定の誰かの頭の中だけにある状態を
なくすことです。
判断そのものは属人的でいい。
しかし、
判断に至る道筋は、共有されている。
この状態がつくれているかどうかが、
属人化がリスクになるかどうかの分かれ目です。
属人化の「位置」を正しくする
属人化の問題は、
あるか、ないか、ではありません。
どこにあるかです。
・判断材料まで属人的なのか
・最終判断だけが属人的なのか
この違いは、とても大きい。
前者は、
人が抜けた瞬間に止まります。
後者は、
人が抜けても、考えることができます。
属人化をなくすのではなく、
属人化の位置を正しい場所に戻す。
それが、現実的で、持続可能な考え方です。
再現性は、人を守る
判断に至る道筋が共有されていれば、
再現性が生まれます。
再現性は、
管理を強めるためのものではありません。
・一人に負担が集中しない
・安心して休める
・誰かが抜けても、責められない
再現性は、人を守る仕組みです。
そして結果として、
組織全体の安定性を高めます。
「備える企業」は、属人化と向き合っている
2026年は、
「備える企業」と「備えない企業」が
はっきり分かれる年になります。
その差の正体の一つが、
属人化とどう向き合ってきたか、です。
できる人に頼り続けるのか。
それとも、
できる人の判断を、
組織の力に変えていくのか。
ススミルは、
属人化を否定する会社ではありません。
ただ、
誰か一人の頑張りに依存しなくて済む状態を整える。
人も、現場も、長く持続できる形をつくる。
その役割を担っています。
次回は、
こうした再現性・可視化・属人化の整理を進める中で、
なぜ「データ」が必要になったのか。
そして、
調達リスクマネジメントの視点から
特許情報をどう捉え直したのかについて、
書いていく予定です。











