原材料調達は、なぜ経営課題として認識されにくいのか

― 問題は「起きるまで見えない」ことにある ―

原材料調達について、
日常的に強い関心を持っている経営者は、
実はそれほど多くないように感じます。

理由はシンプルです。
問題が起きるまで、見えないからです。


問題は「顕在化してから」やってくる

原材料は、
毎日静かに入荷し、
当たり前のように生産ラインを支えています。

その間、
特に大きなトラブルがなければ、
経営の議題に上ることは多くありません。

ところが、ある日突然、

・原材料が入荷しない
・納期が読めなくなる
・生産ラインが止まる

こうした事態が起きた瞬間、
原材料調達は一気に
経営課題として顕在化します。


生産が止まってからでは、すでに遅い

生産ラインが止まると、
影響は連鎖的に広がります。

・売上が立たない
・利益計画が崩れる
・取引先への説明が必要になる
・信頼に影響が出る

この段階で初めて、
「なぜ、もっと早く気づけなかったのか」
という問いが生まれます。

しかし実際には、
気づけなかったのではなく、見えなかった
というケースがほとんどです。


原材料調達は「現場の話」になりやすい

原材料調達は、
専門性が高く、現場色が強い領域です。

そのため、

・詳細は現場に任せている
・報告はあったが、深く踏み込んでいない
・大きな問題は起きていなかった

こうして、
経営と原材料調達の間には、
自然と距離が生まれます。

この距離そのものが、
リスクの正体です。


経営が見ているのは「結果」、現場が見ているのは「過程」

経営は、
売上・利益・納期・取引先との関係
といった結果を見ています。

一方、現場は、

・どの原材料を
・どのルートで
・どの条件で調達しているか

という過程を見ています。

この「視点のズレ」が埋まらない限り、
原材料調達のリスクは
経営の言葉に翻訳されません。


問題は、危機意識の有無ではない

「もっと危機感を持つべきだ」
という話ではありません。

多くの経営者は、
問題が起きれば、必ず向き合います。

問題は、
問題になる前の状態が、経営から見えないことです。

・どこに依存が集中しているのか
・代替は本当に存在するのか
・止まったとき、どこまで影響が及ぶのか

これらが見えない限り、
原材料調達は
「平時には意識されにくいテーマ」であり続けます。


原材料調達は、売上と信頼を支える“見えない基盤”

原材料が止まれば、
売上は止まります。

売上が止まれば、
利益に影響します。

そして、
納期や供給に影響が出れば、
信頼に直結します。

原材料調達は、
現場の話であると同時に、
経営の根幹を支える基盤です。


経営が関与すべきなのは「判断できる状態」

経営が原材料調達に
細かく口を出す必要はありません。

しかし、

・どこにリスクがあるのか
・どの程度の影響が想定されるのか
・判断が必要になるポイントはどこか

これらが整理され、
経営として判断できる状態
なっているかどうかは、
明確に把握しておく必要があります。


原材料調達の問題は、
起きてからでは手遅れになることが多い。

だからこそ、
問題が起きる前に
「見える形」にしておく。

それが、
原材料調達を
経営課題として扱う、
最初の一歩になります。

おすすめ記事