【富山大学「次世代スーパーエンジニア養成コース」にて講義を担当しました】

先週、富山大学にて開催された「次世代スーパーエンジニア養成コース」で、基礎医薬工学特論の第1回講義を担当させていただきました。
受講されていたのは、主に20代〜30代前半の製薬企業で活躍されている若い世代の方々。休日や業務後の時間を使い、約1ヶ月にわたり学び続けるその姿勢に、強いエネルギーを感じました。


講義テーマ:医薬品原材料へのリスクマネジメント導入と、安定供給の強靭化

今回の講義では、医薬品の安定供給を守るために、原材料調達にいかにリスクマネジメントを組み込むかを中心にお話ししました。

医薬品の原材料は、国際物流・災害・地政学・品質・サプライヤー事情など、さまざまな不確実性の影響を受けやすい領域です。
とくに近年、安定確保医薬品制度や長期収載品の動きなど、外部環境の変化が大きいなかで、調達現場には迅速かつ客観的な判断が求められています。

その基盤となるのが、 リスクの可視化数値化 です。
どの原材料にどの程度のリスクが存在し、どの対策を講じることで安定供給の確度を高められるのか。
これらを定量的に把握することこそ、調達戦略の未来を左右する鍵になると考えています。


ワークショップ:もし“南海トラフ地震が金曜日の朝に来たら”どう動く?

講義の中盤では、受講生の皆さんに「原材料の仕入担当」になりきっていただくワークを実施しました。

――“南海トラフ地震が金曜の朝に発生したら、あなたはどの順番で何を判断し、どう行動するか?”

・まず確認すべき情報は?
・社内外の誰と連絡を取り、何を優先するべきか?
・供給停止の見込みをどう推定し、どのように報告するか?
・緊急時に「平時の判断軸」をどう活かすか?

チームごとに議論してもらい、現場で働く人ならではの視点が数多く出てきました。
災害時の行動には“正解”があるわけではありませんが、平時からシナリオを考え、行動方針を持つことがリスク低減の第一歩です。


なぜ私は“安定供給 × リスクマネジメント”に取り組むのか

私はこれまで30年以上、原薬・原材料の調達やサプライチェーンの現場に関わってきました。
その中で痛感したのは、医薬品の安定供給は「仕組み」ではなく「人の判断」で守られている ということです。

しかし、判断に頼りすぎる体制は、社会の変化や人材構造の変化に耐えられない。
だからこそ、属人的な判断ではなく、 データとリスク指標に基づく“仕組みとして強い調達” が欠かせないと考えています。

リスクを数値化することは、恐れを煽るためではなく、
「どこに備えるべきか」を明確にし、
「最適な投資と選択を可能にする」ためのもの。

その思想を、若い世代の皆さんに受け取っていただけたことは、私自身にとっても大きな励みになりました。


学ぶ人の志が未来をつくる

今回の受講生は、ほとんどが企業で働く若手の方々でした。
休日にもかかわらず、知識を深め、視野を広げようとする姿は、本当に頼もしいものでした。

学びは、誰のためでもなく “未来の自分と、未来の業界のため” に積み重ねられていくもの。
その真剣さに触れたことで、私自身もまた新しい刺激をいただきました。

また、このような学びの場をつくり続けておられる富山大学の皆さまに、心から敬意を表します。


企業セミナー・講演のご依頼について

ススミルコンサルティングでは、
・原材料調達
・医薬品の安定供給
・リスクマネジメント
・BCP/災害対応
・安定確保医薬品の考え方
・調達部門の人材育成
など、企業向けのセミナーや講演、ワークショップのご依頼も承っています。

内容は、現場の課題や企業規模に合わせて柔軟にカスタマイズ可能です。
ご関心のある企業さまは、お気軽にお問い合わせください。


今回の講義を通じて得た気づきを、これからのコンサルティング活動にも活かしてまいります。
そして、医薬品の安定供給に取り組むすべての方と共に、より強いサプライチェーンをつくっていきたいと思います。

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