ファミリーマートが、備蓄米の店頭販売を始めるそうです。
1キロ500円。
まさか“備蓄米”がコンビニの棚に並ぶ日が来るなんて、少し前までは想像もできませんでした。
注目すべきは、その展開スピード。
コンビニとしては初の試みということで、ニュース番組でも大きく取り上げられ、広告効果は抜群。
さらに、店頭に並べば実際に商品が動き、お米を目的に来店したお客様が、別の商品も手に取る。
つまりこれは、“お米”を使った強力な集客ツールでもあるのです。
大きな組織でありながら、この決断の速さ。お見事です。
さて、このお米の話題から、今日は「流通の付加価値」について考えてみたいと思います。
私は長く、買う側、つまり「調達」の立場にいました。
製造する企業と、それを必要とする企業をつなぐ――
その仕事は、企業に属しながらもサプライチェーンの一翼を担う“流通”の一部だったと今、あらためて感じています。
その際、私たちが重視していたのが「QCD」。
Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)の最適化です。
そして最近では、Sustainability(持続可能性)というキーワードも、無視できない要素になってきました。
“届ける”ということは、価値を流すこと
調達部門が目指していたのは、こうしたQCDをすべて高いレベルで実現すること。
たとえば、
最高品質
最低価格
最短納期
これらを同時に満たすことができれば、理想的ですし、企業としての強みになります。
ですが――それが「一度」できたからといって、終わりではありません。
適正バランスで調達することが大切だと考えます。
真に求められるのは、それを“継続”できる仕組みです。
継続できること、それが本当の価値
どれだけ優れた製品であっても、それが“必要な時”に“確実に”届かない限り、
社会に対する価値とはなりません。
製造者がすべてを担える場合もありますが、現実にはそれが難しいケースも多い。
強力な営業部門や配送体制がなければ、どれだけ良い製品でも届かない。
そんなとき、力を発揮するのが「流通」という存在です。
流通が、QCDのバランスを整え、サプライチェーン全体の最適化を図る。
そこには、“見えない価値”=付加価値が確かに存在しています。
その付加価値に対して、妥当なコストを支払うという判断が、
持続可能なビジネス、そして社会的責任へとつながっていくのです。
医薬品のサプライチェーンにこそ、“見えない価値”を
私たちが関わる「医薬品」は、命に関わる製品です。
だからこそ、「安定供給」というテーマは極めて重要。
それはつまり、患者さんの“当たり前の生活”を守ること。
ススミルは、調達・安定供給・リスク分析の知見を通じて、
その“当たり前”を見えない場所で支えつづける存在でありたいと考えています。
今回の“備蓄米”販売のニュースは、流通の価値とは何か、
それがどんな仕組みによって実現しているのかを、
私たちに問いかけてくれているように思います。