「産業を根付かせる!」安定供給の本質

横浜でTICAD(アフリカ開発会議)が閉幕しました。今回のテーマのひとつは「投資」。
滋賀県の大原薬品工業は、ナイジェリアの製薬会社に投資し、
現地で感染症治療薬を製造できる環境づくりを進めています。

大原薬品の大原誠司社長は「寄付は一時的。産業を根付かせることが重要」と語っています。
この取り組みは、社会性が非常に高いだけでなく、アフリカ市場に日本企業が未来の道を
切り開くものでもあります。

分散より「持続可能性」

医薬品の安定供給を語る際、よく「分散」がキーワードとして挙げられます。
しかし、分散は必ずしもベストではありません。

分散により取引が細分化されると、既存のサプライヤーにとってビジネスとしての魅力が失われ、
撤退につながることもあります。
結果として、リスク分散どころか、かえってリスクが高まってしまうのです。

重要なのは「分散の数」ではなく、サプライヤーが持続可能な形で事業を継続できる仕組みを築くことです。
新規サプライヤーを採用する場合でも、既存以上の競争力を持っていなければ意味がありません。

日本国内で進む「静かなリスク」

実際にいま、日本では医薬品添加剤の国産メーカーの撤退が相次いでいます。
添加剤は医薬品製造に不可欠な存在ですが、低価格競争や規制強化によって採算が合わず、
撤退が進んでいるのです。

これは国内の「安定供給リスク」をじわじわと高めています。
もし、ここに投資や支援があれば、国内の産業を守り、将来の供給不安を未然に防ぐことにつながるはずです。

ススミルの視点

アフリカでの大原薬品工業の挑戦は「産業を根付かせる投資」。
日本国内で必要とされるのは「国産添加剤メーカーへの支援」。

一見、別々の話のようですが、根本にあるのは同じ思想です。
それは「医薬品を切らさない社会をつくる」という視点。

ススミルは、サプライチェーンのリスクを可視化し、持続可能な仕組みを整える支援を
続けていきたいと思います。

近日の記事予告とお願い

今後、このブログでは 「添加剤メーカーの撤退がもたらすリスク」 を詳しく取り上げる予定です。
また、製薬企業・商社の皆さまからのご意見を集めるため、アンケートも実施いたします。

医薬品の安定供給を支えるために、ぜひ皆さまの声をお寄せいただければ幸いです。